都羅戦争 ~走れトッティ(前篇)~
このエントリはフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。
トッティは激怒した。
トッティちゃま「トッティおこったのらー! あんなはんていはないのらー!」
必ず、彼の邪智暴虐な貴婦人を取り除かなければならぬと決意した。
トッティちゃま「せかいじゅうのシマウマをみなごろしにしてしまうのらー!」
トッティはサッカー界の政治が分からぬ。というか簡単な単語すら読めぬ。
トッティはローマの王子である。唾を吐き、クッキアイオをして遊んでいた。
けれども不当な判定については人一倍敏感であった。
トッテイには父も、母もない。女房はいるが、あまり関係ない。31の二重人格の弟と二人で暮らしていた。
この弟は、そのうち青いチームのキャプテンに選ばれることが濃厚であった。トッティはそれゆえ、彼の主将祝いの品を買いに町(リーグ)に来ていた。
トッティには竹馬の友があった。スティービーである。今はこの町でアイス屋になっていた。その友をこれから訪ねるつもりなのだ…(中略)…何だかリーグの様子がやけに寂しい。いつの間にかヨーロッパ5位になっているとかいう話がある。
トッティは途中で会ったデルピエロを捕まえて、「前はこのリーグはもっとにぎやかだったはずだが」と尋ねた。デルピエロは首を左右に振って離れていった。トッティは納得できず、そばを走ったナガトモを捕まえて激しく尋ねた。
ナガトモ「貴婦人は試合を買います」
トッティちゃま「なぜかうのらー?」
ナガトモ「優勝のための邪魔になるから、と言うのですが、誰もそんな邪魔できるほどの力は持っていませぬ」
トッティちゃま「たくさんのしあいをかったらのか?」
ナガトモ「はい。はじめはキエーヴォを。それから次にウディネーゼを。それからマルメを。それからチェゼーナを。更にアタランタを。唯一ミランとの試合だけは別でした。ミランの殿も試合を買おうとしていたので実力で倒したのです」
トッティちゃま「おどろいたのらー。きふじんはらんしんしてるのらー」
ナガトモ「いいえ、乱心ではございませぬ。選手を信じることができぬのです。最近では自分の選手すら他のチームに買収されているのではとお疑いになり、全員に人質を出させているのです。今日は勝ち点6を買いました」
聞いて、トッティは激怒した。貴婦人を生かしておけぬと誓った。
トッティは単純な男であった。そのままペナルティエリアの中までズカズカと入り込んだ。たちまち彼はDFに削られた。調べると「PKはクッキアイオできめてブッフォンをばかにするのらー」とメモしていたので、騒ぎが大きくなった。トッティは貴婦人の前に引き出された。
ゆヴぇんとす「おまえは何をするつもりだったのだ!? 言え!」
トッティちゃま「リーグをきふじんのてからすくうのらー」
「おまえがか?」貴婦人は憫笑した。「仕方のない奴じゃ。おまえにはわらわの孤独が分からぬ」
「いうでないらー!」トッティは反駁した。「せんしゅをうたがうのはさいていなことなのらー。きふじんはチームのちゅうせいをうたがっているのらー。らー? ちゅうせいっていみがわからんのらー」
「疑うのは正当なのだ。人の心はアテにならない。あれだけ中心選手として優遇したのにズラタンもカンナヴァーロも出て行ってしまった。選手は私欲の塊さ。信じてはならぬ」貴婦人は溜息をついた。「わらわとて、同じチームで優勝をめざしたいのだ」
「なんのためのゆうしょうら? じぶんのちいをまもるためらか?」今度はトッティが嘲笑した。「しあいをかって、なにがゆうしょうなのら!」
「黙れ、南部の馬鹿者が」貴婦人はさっと顔を挙げて報いた。「口では何とでもいえる。おまえだって、沢山の金を貰えばそそくさと移籍するし、チームから給料を貰えなければ泣いて移籍を求めるに決まっている」
「きふじんはりこうなのらー。だけど、ぼくはそんなみっともないことはしないのらー。ろーまのためにしぬかくごもできているのらー。いのちごいなどしないのらー。ただ…」
言いかけてトッティはためらった。
「だけどぼくになさけをかけるつもりなら3かほしいのらー。おとうとがアズーリのキャプテンになるのをみたいのらー」
「馬鹿なことを。逃がしたファンタジスタが守備に戻ってくると思うのか?」
「もどるのらー。ぼくはデ・ロッシがキャプテンになるのをみたらかならすもどるのらー。そんなにぼくをしんじられないのなら、いいのらー。このリーグにスティービーというアイスやがいるのらー。あれはぼくとおなじゆいいつむにのバンディエラなのらー。あれをひとじちとしておいていくのらー。ぼくがにげて3かめのゆうがたまでもどられなければ、スティービーをすきにしていいのらー」
「良かろう。願いを聞いた。そのスティービーはファギー親爺にくれてやろう。ちょっと遅れてくるがいい。おまえの罪は永遠に許してやろうぞ」
トッティは馬鹿にされたと感じて地団太を踏んだ。物も言いたくなくなった。
その日のうちにスティービーはCLの間に召された。佳きバンディエラと良きバンディエラは6年ぶりに逢った。トッティはスティービーに全てを話した。スティービーは全てを理解し、頷いてトッティを抱きしめた。バンディエラとバンディエラの間はそれでよかった。
長くなりそうなので次回に続く。
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